実践者の声(Kさん)
マイツリーペアレンツ・プログラムの開発者である森田ゆりさんは、虐待という行為について「他者から尊重されなかった痛みと深い悲しみを、怒りの形で子供に爆発させている。」と言っています。私はプログラムの実践者として50名近くのお母さんたちに会いましたが、確かに、痛みや悲しみが癒されることは、虐待行動を止めることにつながっていくと感じています。
現在、私は実親と暮らせない子供たちと生活しています。中には虐待を受けてきた子もいます。児童虐待のニュースを見るたびに、私は虐待する親に憤りを覚えていました。しかし、プログラムの実践者となり、虐待をしてしまうお母さんたちの様子を知ってからは、子どもを虐待する「鬼のような母親」ではなく、悲しみや痛みや弱さを背負って「懸命に生きている母親」と思うようになりました。
今、一緒に暮らしている子どもたちは、みんな、本当は優しい時の母親と暮らしたいのです。代替養育を考えること以上に、虐待してしまう母親が優しい母親に変わるような回復プログラムが必要であり、このマイツリーペアレンツ・プログラムがさらに拡がっていくことを願っています。